誤嚥とは
誤嚥とは食べ物や異物が誤って気管へ入ってしまう事です。誤嚥性肺炎へ移行したり、時として窒息死を招いてしまうこともあると言われています。前回、ブログ「誤嚥と鍼灸施術」では気管と食道の分岐点で発生する誤嚥についてお話ししました。
食道とは
今回、飲食物が食道に入って胃袋に達する間での原因で逆流物による誤嚥についてお話しします。食道は咽頭をすぎて胃袋まで達する長さ約25cmの管状の構造をしています。管の上部三分の一は横紋筋で出来ており、下部三分の二は平滑筋で出来ています。横紋筋は随意筋(自分の意思で動かせる)一方平滑筋は不随意筋(自分の意思とは無関係に作動します)食道入り口から胃袋まで蠕動運動で物を運びます。イメージとして蛇が獲物を飲み込んだ状態。この蠕動運動は飲食物が胃袋に達するまで次の食塊を飲み込もうとしても起こせません。
食道の働き
食道上部と下部とでの筋肉構造の違い、独特の蠕動運動は、食事をゆっくり楽しみながらする時に有効に働いてくれます。ところが、時間に追われ急いで続けざまに飲食物を飲み込もうとすると食道上部は横紋筋ですから自分の意思が通じ、物は飲み込めますが、その後がいけない。こんな時は先の通過中のものと後から無理に飲み込もうとした物、両方ともを吐き出します。「むせる」という状態です。この時に全部吐き出せず、気管に一部が流れ込んだとき誤嚥となります。この「むせる」は慌てて食事する時のみでなく、高齢になると、若かった頃より食道の通過時間が余計にかかり水を飲む場合など、まだ胃袋に達していない状況で次を飲み込もうとして「むせて」しまう。
食道に働きかける鍼灸
年齢と共に起こりやすい食道関連の誤嚥に、鍼灸東洋医学は「降濁作用」(こうだくさよう)ある「ツボ」を用います。「降濁作用」とは、ご自分の体調にあったペースで飲食物を下へと下げる作用のことを言います。「ツボ」はご自分の体表に散在してあります。作用として有益な反応の一つが御自分の体調にあったペースで状態を良い方へ向かわせていく事です。また、交感神経、副交感神経の働きを整える自律神経調整も鍼灸は得意です。この「むせる」は来院された方とお話しをしている中でお困りごととしてよく相談を受ける状態です。お客様には鍼灸で飲食物を降濁させる作用ある「ツボ」のお話しをさせていただきます。施術させていただくと前よりも、物のとうりが良くなったように感じる、「むせる」ことが少なくなったとのお答えいただけます。「むせる」、「食べ物がつっかかった感じがする」などありましたら主訴とする状態改善の施術をお受けになる時に同時に御相談ください。
